踊場という地名の由来

念仏供養塔

踊る猫の伝説を由来とする「踊場」というこの地の通称は、駅名として反映されたものの、実際の地名には使われておりません。ちなみに駅の所在地は横浜市泉区中田南1丁目です。

さて、「踊場」の由来ですが、駅の3番出口のそばに南無阿弥陀仏と彫られた「念仏供養塔」(写真左)があって、これが猫の霊を供養するためのものらしいのです。

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踊る猫の伝説とは

その昔、相模の国(神奈川県)の戸塚の宿に水本屋という醤油屋がありました。商売柄手が汚れやすいのでたくさんの手ぬぐいを毎晩洗濯して物干しに干しておりました。しかしのの手ぬぐいが夜毎、なぜか一本ずつなくなるのです。そこで不思議に思った店の主人が、手ぬぐいに紐をつけ、その端を自分の手に結んで床に入りました。

すると夜中、その紐が引っぱられ、誰かが手ぬぐいを持っていこうとしております。そっと紐の先に目を移した主人の目に映ったのは、なんと家で飼っている猫のトラでした。そのまま手ぬぐいをくわえて逃げていくトラを追いかけましたが、追いつけずに見失ってしまいました。

つづく夜もやはり手ぬぐいがなくなっていきました。猫のトラが一体何のために手ぬぐいを持っていくのだろう?と主人は気になる一方です。

しかしある日のこと、となり町で開かれた宴会から帰るとき、村はずれの小高い林の中から話し声が聞こえてきたので、そっと近づいてみました。覗いてみると、何匹もの猫が林の中の広場に集まっていました。そしてその中の何匹かが手ぬぐいをかぶっているではありませんか。

「師匠がまだ来ないねえ。」
「今夜こそ上手に踊って、師匠から手ぬぐいをもらおうと思ってたのにぃ。」
「師匠がいないんじゃ面白くないなぁ。」

しばらくすると、頭に手ぬぐいをのせた猫が、
「ごめん、すっかりおそくなっちゃった。」と走ってきました。
主人は、びっくりしました。自分の飼っているトラが猫たちの踊りのお師匠だなんて。

そしてトラが踊ると、ほかのネコたちも、一緒に踊りはじめました。主人は猫たちに気づかれないようにその場をはなれました。

主人はなくなった手ぬぐいの謎がわかってホッとするとともに、自分の家の猫を誇らしく思うようになりました。しかしそれからしばらくすると、猫の踊りの話が町のうわさになり、見物に行く人がふえるようになりました。

すると敏感な猫たちはそれに気づき、その場所で踊るのをやめてしまい、トラもしばらくすると戻ってこなくなりました。主人は町の人たちと話し合い、猫の踊っていたところに供養碑をたてました。猫の踊りの話は代々語りつがれて、今でもそこは「踊場」と呼ばれております。

 

と、こんな話です。猫が踊っていたという話にも諸説ありますが、この「踊場」という通称の由来にはまったく猫が出てこない話も残っているようです。どちらにしても私の中ではかわしい猫たちが踊っているイメージしかありません。

念仏供養塔の脇にある立て札

念仏供養塔の脇にある立て札です。

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